14億人の中国市場。世界の医薬メーカーがこぞって同市場攻略に戦力を投入する中、タケダは、攻めあぐねていた。アジア市場の攻略を託された人物がいる。

業界をアッといわせた人事だった。10年7月、萬有製薬元社長で、英グラクソ・スミスクライン(GSK)日本法人専務の平手晴彦を、長谷川閑史がタケダのコーポレート・オフィサー(アジア販売統括職)としてスカウトしたのだ。平手といえば、業界で知らない者がいない“仕事請負人”だ。このような人材を将来の取締役含みで採用したのは異例で、長谷川が、平手の力量を評価している証しだろう。