SNSを通じて「愛してる」などのメッセージを送り、最終的には金銭を騙し取る「国際ロマンス詐欺」の被害が急増している。ノンフィクションライターの水谷竹秀さんは「警察による犯人の特定や被害額の回収は困難なのが実状だ。私のところにも米兵女性をかたるアカウントからメッセージが来たが、その相手は詐欺目的のナイジェリアの男性だった」という――。
スマートフォンでのロマンス詐欺
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全国の男女65人が総額約4億円を騙し取られた

彼らも泣き寝入りするしかないのか――。

国際ロマンス詐欺に関与したとして国際手配され、西アフリカのガーナに潜伏していた森川光容疑者(58)が現地で拘束され、日本に送還された事件。8月29日に詐欺罪で大阪地検に起訴された森川被告は、国際犯罪グループに所属し、日本人メンバーの取りまとめ役として、全国の男女65人から総額約4億円を騙し取ったとみられている。1人当たりの被害額に換算すると、615万円になる計算だ。

その65人全員が、私が取材してきた被害者たちと同じように、被害額を回収できないまま失意の日々を送っているのではないか。

国際ロマンス詐欺は、インスタグラムなどのSNSやマッチングアプリを介して相手と知り合い、親しくなって投資話を持ちかけられる特殊詐欺の一種である。被害額は数百万円から多い時で数千万円に上り、今年6月に発覚した、山梨県在住の50代男性は約1億5000万円も詐取されていた。