犯人の特定は「極めて困難」と言われるワケ
「海外にいる犯人の特定は難しいです」
「現状は口座の凍結ぐらいしかできません」
「泣き寝入りするしかないと思います」
これらは被害者たちが警察に駆け込んだ際に受けた説明の数々だ。振込先の口座を提供すれば、確かに口座の凍結は可能だが、すでに引き出されている場合がほとんど。しかも口座の名義人と本丸の犯行グループが繋がっているとは限らないため、名義人から海外にいる犯行グループを突き止めるのは難しい。売ったり貸したりした銀行口座が、ロマンス詐欺の振込先として悪用されただけなのだ。
これが仮想通貨になるとその仕組み上、「犯行グループの追及はさらに困難になる」というのが、投資詐欺に詳しい弁護士たちの共通認識だ。ゆえに被害額が回収できないのである。
被害者たちの泣き寝入り状態は続く
こうした被害の深刻化を受け、東京投資被害弁護士研究会は昨年、マッチングアプリの運営会社に国外からの登録を排除するよう申し入れ、LINEには犯人とみられる登録者情報の開示を求めるなどの取り組みを行っている。一部運営会社ではすでに、国外からのアクセスが禁止された。
といっても撲滅には程遠く、警察も海外には捜査権限が及ばないため、事実上のお手上げだ。被害者の泣き寝入り状態が解消する見込みは当分なさそうで、被害を事前に食い止めるためにはやはり、この犯罪を周知徹底させることだろう。
被害者の1人は、あらためてこんな言葉を教訓にしている。
「そんなにおいしい話が転がっているはずがない」
多くの人は分かっている。
それでも被害は続出しているのだ。