カブトムシが理由で会社を休む部下
「見ているだけで、ムカつくんですよね。あの人とは仕事したくないです」そんなムチャを言う、身勝手な部下がいたとしましょう。そんな時は、無理に相手を理解しなくてもいいのです。理解できなくても「受け止める」ことができれば、困った部下であったとしても距離を縮めることはできます。
その際、あえて賛成も反対もせず、また意見もせず、ただ「感情」を代弁しましょう。それこそが「受け止める」聞き方になります。次の会話をご覧ください。
部下 「もう、高橋さんとは仕事をしたくありません!」
上司 「どうしたの?」
部下 「何度言っても納期に遅れるのです。今回で2回目なんです」
上司 「2回目か……。それはいい気持ちしないよね」
もう一つのケースも見てみましょう。
部下 「ウチのカブトムシが死んだので、今日は休ませてください」
上司 「カブトムシか……。その理由で休む人はあまりいないので、聞かせてもらっていい? どんな背景があるの?」
部下 「かわいがっていたんです……」
上司 「そうか。あまりに悲しいね……」
いかがでしょう? この傍線部分こそが、相手の「感情」を代弁しているセリフです。「この上司、わかってくれている」というイメージが持てませんか。
くれぐれも言っておきます。この傍線は、上司本人の感情ではなく、部下の感情を代弁しているだけ。
「相手が納期に2回遅れただけで、仕事はしたくないとは何様のつもりだ!」
「カブトムシが死んだので会社を休みたいとは、責任感がないのか!」
それが本心だとしても、上司は受け止める会話をしないといけないのです。それが役割だからです。正直に言うと、私にも理解はできません。でも、このセリフのように、受け止めるようにはします。
寄り添ってからであれば注意も効く
もちろん、放っておけない時は注意すべきです。でも、いきなり注意をするより、距離を詰めてからのほうが注意の効果はあります。
「確かにいい気持ちしないよね」と距離を詰めながら、しばらくは話を聞き、その上で、問題に気づかせる質問をすればいいのです。たとえばこんな感じです。
「ふと思ったんだけど、そこでシャットアウトしてしまうと、今後、一緒に仕事できる人が少なくなるんじゃない? そんな人も多いよ。その点はどう思う?」
言いたいことはあと。まずは、相手に寄り添わないと、聞く耳を持たない部下もいます。まず、相手の「感情」を代弁してみてください。