※本稿は、伊庭正康『できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編]』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
「最近どう?」という部下への声がけが逆効果なワケ
コミュニケーション上手な人の会話を分析する中で、ある発見をしました。部下との面談がギクシャクする上司は、自分が「聞きたいこと」から尋ね、一方、面談が盛り上がる上司は、「答えやすい質問」から尋ねる。
なんだ、そんなことか……と思われたかもしれませんが、誰もが意外とやってしまっているもの。私も管理職の時、無自覚にやっていました。たとえば、「どう? 最近は?」といきなり尋ねたりしていましたが、これも「自分が聞きたいこと」であり、NGなのです。
ここで、「答えやすい質問」と「答えにくい質問」を整理しておきましょう。
三つの切り口で整理します。「時系列」「コトとココロ」「抽象と具体」です。
答えやすい質問の3つの切り口
①時系列
答えやすい質問としては、「現在のこと」「過去のこと」が該当します。一方で、「未来のこと」は答えにくい質問になります。
現在と過去のことは、すでに起こったことなので回答がしやすいのですが、未来のことは不確かなので、答えにくいというわけです。
②コト(事実)とココロ(考えや想い)
「コト(事実)」のほうが答えやすく、「ココロ(考えや想い)」は答えにくい質問に当たります。
これも「コト(事実)」は起こっていることなので答えやすく、「ココロ(考えや想い)」は正解がないので、答えにくいと考えると整理がつくでしょう。
だとすると、ダメな質問はこんな感じ。
「お疲れ様。今週はどう?」
アイスブレイクのはずが、聞かれたほうは、「どう答えるのが正解なのか……」と身構えてしまうわけです。
③抽象と具体
抽象的な質問から入り、そのあとに具体的な質問をしたほうが、会話としては自然な流れになります。
その流れを図で整理しました。この順序に沿って、1から12の順に話してみてください。自然な流れで会話が進展するはずです。