部下にはどんな声がけをすればいいのか。営業研修トレーナーの伊庭正康さんは「部下との会話が盛り上がる人は、自分の聞きたいことではなく、相手の答えやすい質問から始めている。だから、『最近どう?』という声がけはやめたほうがいい」という――。

※本稿は、伊庭正康『できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編]』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

混乱する人事部長
写真=iStock.com/fizkes
※写真はイメージです

「最近どう?」という部下への声がけが逆効果なワケ

コミュニケーション上手な人の会話を分析する中で、ある発見をしました。部下との面談がギクシャクする上司は、自分が「聞きたいこと」から尋ね、一方、面談が盛り上がる上司は、「答えやすい質問」から尋ねる。

なんだ、そんなことか……と思われたかもしれませんが、誰もが意外とやってしまっているもの。私も管理職の時、無自覚にやっていました。たとえば、「どう? 最近は?」といきなり尋ねたりしていましたが、これも「自分が聞きたいこと」であり、NGなのです。

ここで、「答えやすい質問」と「答えにくい質問」を整理しておきましょう。

三つの切り口で整理します。「時系列」「コトとココロ」「抽象と具体」です。

答えやすい質問の3つの切り口

①時系列

答えやすい質問としては、「現在のこと」「過去のこと」が該当します。一方で、「未来のこと」は答えにくい質問になります。

現在と過去のことは、すでに起こったことなので回答がしやすいのですが、未来のことは不確かなので、答えにくいというわけです。

②コト(事実)とココロ(考えや想い)

「コト(事実)」のほうが答えやすく、「ココロ(考えや想い)」は答えにくい質問に当たります。

これも「コト(事実)」は起こっていることなので答えやすく、「ココロ(考えや想い)」は正解がないので、答えにくいと考えると整理がつくでしょう。

だとすると、ダメな質問はこんな感じ。

「お疲れ様。今週はどう?」

アイスブレイクのはずが、聞かれたほうは、「どう答えるのが正解なのか……」と身構えてしまうわけです。

③抽象と具体

抽象的な質問から入り、そのあとに具体的な質問をしたほうが、会話としては自然な流れになります。

その流れを図で整理しました。この順序に沿って、1から12の順に話してみてください。自然な流れで会話が進展するはずです。