国民との距離が近いため「見せる警護」は最低限

バッキンガム宮殿への侵入未遂事件も数回発生しており、1982年にはバッキンガム宮殿の隣に160万ポンド(約2億6000万円)をかけて王室警護班の詰め所が設けられた。

英王室を取材していて痛感するのは王族と国民の距離が極めて近いことだ。それだけ身辺警護は難しくなるが、私服警官や“ジェームズ・ボンド型腕時計”など最先端テクノロジーを使って「目に見える身辺警護」は最低限に抑え、ソフト警護に徹している。英王室主催の競馬「ロイヤル・アスコット」の警備ではドローン(無人航空機)も投入されている。

英国には2020年時点で520万台の防犯カメラが設置されている。ロンドン警視庁は都心で顔認証システムを試験導入。クレジットカードやデビットカード、ICカード乗車券の追跡を含めた最先端テクノロジーはすでにテロ防止策に活用されており、目に見えないところで王族の身辺警護に応用されていたとしても何の不思議もない。

「開かれた王室」と「王族警護」を両立させるのは難しい。予算上の制約もある。安倍元首相の身辺警護は果たして十分だったのか。小室さんと眞子さんの警護は必要なのか。透明で適切な判断を確保するためには日本にも英国のRAVECのような制度が必要なのかもしれない。

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