9月9日から「U-18ベースボールワールドカップ」が始まる。毎年、多数の甲子園球児が出場しているが、日本代表は一度も優勝したことがない。スポーツライターの広尾晃さんは「大会で使用する木製バットに日本の高校生が慣れていないことが大きい。高野連は世界標準から外れたルールを改めるべきだ」という――。
2019年韓国で行われたU18ワールドカップの様子
筆者撮影
2019年、韓国で行われたU18ワールドカップの様子

高校野球は甲子園で終わりではない

第104回全国高校野球選手権大会は、仙台育英高校の優勝で幕を閉じた。東北勢の初優勝は大きな話題となったが、実は高校野球はこれで終わりではない。

9月9日からアメリカ、フロリダで第30回WBSC(世界野球ソフトボール連盟)U-18ベースボールワールドカップが開催される。日本からは甲子園で活躍した選手などが選抜され、WBCなどと同じ「侍ジャパン」のユニフォームで世界の同世代と戦うのだ。

なぜ世界大会で日本の高校生は負け続けるのか

夏の甲子園は、間違いなく「世界最大の野球大会」だ。減ったとはいえ、参加校数は3547校、13.1万人の選手が参加する(ベンチ入りは約6万人、2022年のデータ)。6月半ばから2カ月もの期間をかけてトーナメントを行い、優勝チームを決める。

韓国で硬式野球部がある高校は約90校程度、台湾で190校ほどだ。すそ野は比較にならないほど小さい。またアメリカは1万校前後とされるが、真剣に野球をしているのは800校ほど、そして州大会が頂点で、全国大会は行われていない。

ライバルの顔ぶれからも、U18大会では日本が圧勝してもおかしくないように思われるが、本格的に参加した2012年以降、日本はただの一度も優勝していない。

2012年(第25回・韓国、ソウル)6位
2013年(第26回・台湾、台中)2位
2015年(第27回・日本、大阪)2位
2017年(第28回・カナダ、サンダーベイ)3位
2019年(第29回・韓国、キジャン)5位

2019年は大船渡の佐々木朗希(ロッテ)、星稜の奥川恭伸(ヤクルト)、興南の宮城大弥(オリックス)などが参加したが日本はスーパーラウンドで5位に終わり、決勝に進めなかった。

「長い夏の大会を終えた日本選手には『甲子園疲れ』があり、実力が発揮できない」という声もあるが、関係者はもっとはっきりした原因があると見ている。

それはバットだ。