根本的な問題解決になっていない

日本高野連がバットの仕様を見直したのはこれが初めてではない。

2001年に打球速度を下げるために900g以下の金属バットの使用を禁止した。これによって2001年の春夏の甲子園の81試合で50本出ていた本塁打は2003年には22本に減少した。

しかし2009年には78試合で48本、2018年には90試合で71本とむしろ増加した。

この原因は、高校球児たちが重いバットを振ることができるように筋トレなどに取り組んで、パワーアップしたからだと言われている。

しかし、それだけではなく日本のバットメーカーは900g以上という仕様を守りつつ、重心の位置を変えるなどの工夫で、重くてもボールに負けないヘッドの効いたスイングが可能で飛距離が出る金属バットを開発したのだ。

伝統的に日本のスポーツメーカーは「規格内でより高いパフォーマンスが期待できる用具」を開発するのが得意だ。

ゴルフでは「飛びの○○」などのキャッチフレーズで飛距離が出るクラブを開発してきた。金属バットでも同様なのだ。

メジャーリーガーも「飛びすぎ」を懸念

軟式野球界では硬式野球とは対照的に、打球が飛ばず、ロースコアの試合が多いことが問題になっていた。そこで全日本軟式野球連盟は2002年、ミズノに「飛距離の伸びる軟式バット」の開発を依頼した。こうしてできたのが「ビヨンドマックス」だ。

FRP製のバット本体の打球部にエーテル系発泡ポリウレタンが使われており、反発係数は8%も向上した。ミズノはその後も開発を続け、最新モデルでは従来の金属バットよりも約30%も反発係数が向上している。4万9500円(税込)と非常に高価だが、草野球では飛距離自慢の選手の必携になっている。

これで競技人口が増えるのなら、悪いことではない。しかし青少年の野球でこのバットが使われることは問題だ。

昨年12月神宮球場で行われたNPB12球団ジュニアトーナメントで、小学生がこのバットを使ってさく越えの本塁打を打った。

現場で見ていたメジャーリーガーの筒香嘉智は「ちょっと考えられなかったですね。将来がある子どもたちは、しっかり芯で打たないと。あとあと苦労するのは子どもたちだと思います」と懸念を表明した。

どんな規格を導入しても、実際に「飛び」を抑制できなければ、仕様変更した意味はない。重要なことは「形状」「材質」ではなく「反発係数」の規定を設けることだ。