ようやく2024年に新基準が導入されるが
日本高野連もこの状況を座視していたわけではない。2019年夏の甲子園で投手が顔に打球を受け骨が折れる大けがを負った事件を受けて、有識者会議で金属バットの反発を抑えるべきと声が上がり、見直しに着手した。
そして今年2月、日本高野連は2024年春から新基準の金属バットに完全移行することを決めた。
新基準ではバットの最大直径は64ミリと現在から3ミリ細くなり、本体は、単層管(単層構造)で打球部の肉厚は、1ミリ厚くなり4ミリ以上となる。測定によれば打球の平均速度は現行モデルと比べて96.3%、初速は96.4%に抑えられる。
しかしこの仕様変更に筆者は大きな懸念を持っている。
独自仕様のバットの開発にこだわる
すでにアメリカにはBBCOR0.5規定の金属バットがある。アマ球界ではこれ以外の金属バットは認められないため、全メーカーがこの仕様のバットを製造している。ミズノもアメリカではBBCOR0.5のバットを製造販売している。
国際基準に合わせるなら、このバットを導入すればよいずだ。しかし日本高野連は独自の仕様でのバットの開発にこだわった。
あるスポーツメーカーの担当者は
「ミズノ以外の日本メーカーはBBCOR0.5規定の金属バットを作っていない。このバットを承認すれば、ルイスビルやイーストンなど外国製品が日本に入ってくる。国内メーカーのシェアを守るために、新たな基準を作ったのではないか」と語る。
そのためにコストも時間もかけるのは問題なしとはしないが、それでも本当にバットの「飛びすぎ」を抑えることができるのなら、良いとは思う。
日本の野球メーカーは高校野球のために多大な貢献をしてきたのだから、その市場を守ることも必要かもしれない。