目標が不明確だから間違った方向を向く

メンバーがチームの目標より個人の目標や派閥の目標を達成することに力を入れているように見えるときは、競争以外のことに原因がある場合もある。

「明確な目標が伝えられないと、活力は生まれない」と、ビーティはいう。「すべてのメンバーが同じことに力を注ぐとき団結が築かれるのだから」。

決定がなかなか下せないのは、目標を明確にする必要があるというサインである。何に向かって努力しているのか定かでないときは誰も決定を下せず、メンバーの能力は間違った方向に向けられることになるのだ。

マサチューセッツ州のストーン・アンド・カンパニーのCEO、ローラ・ストーンも同じ考えだ。彼女はかつて、ひどい機能不全に陥った派閥型チームの指導を依頼されたことがある。フォーチュン誌のランキングでトップ20に入る小売企業の人事部社員と、その小売企業の人事業務の多くを委託されているアウトソーシング会社社員で構成されたチームは分裂していた。人事部員はアウトソーシング会社が仕事を奪っていると非難し、アウトソーシング会社の社員は、自分たちがつまずくと不当に非難されると、もっともな不満を抱いていた。対立の中、双方がチームの使命を見失っていた。