昼休みのなにげない会話が劇的な効果を

信頼の欠如は最もよくある問題だと、カリフォルニア州の経営コンサルタント会社、テーブル・グループのパトリック・レンチョーニ社長は指摘する。個人主義者のチームでは、メンバーが互いを信頼していないため手柄を分かち合おうとしない。譲歩したり、注目を分かち合ったりしたら権力や敬意を失うと思っているので、自分自身の利益だけを目指すのである。

派閥型チームでも似通ったパターンが見られる。違いは、個人ではなく派閥が互いに不信感を持って、競争しなければならないと思っていることだ。メンバーが互いを信頼していないとき、公然と意見をぶつけ合うことを避け、最善の決定に至ることが難しくなる。健全な意見交換ができなければ、強い絆を築くチャンスをつかみそこなう。

まず、メンバーが個人レベルで互いを知る機会をつくることだ。弁当を持ち込ませて、昼休みに30分ほどなにげない会話を交わさせよう。メンバーに自分自身について少し語らせよう。これは驚くほど効果がある。

毎日一緒に働いている事業部チームにおいてさえ、そのような会話が役に立つことがある。ひとつ例を挙げよう。レンチョーニがかつてある事業部チームと一緒に仕事をしたときのことだ。その事業部の財務マネジャーは、同僚たちから財布の紐が固すぎるとみなされていた。彼らの支出を彼がなかなか承認せず、摩擦が生じていた。だが、彼が自分は水道もないような貧しい家庭で育ったため、必要以上のカネはけっして使うまいと思い定めているのだと打ち明けてからは、同僚たちは彼の厳しいコスト管理を受け入れるようになった。そして彼のほうも、承認の決定を下すにあたって理にかなった基準を適用するようよりいっそう努力した。