日本のサウナブームがどんどん熱を帯びている。今年7月にはサウナ室に熱波を起こす「アウフグース」の世界大会アジア予選が、はじめて日本で開催された。予選には日本各地から「熱波師(アウフグースマスター)」が集まった。その魅力はどこにあるのか。ライターの橋本達也さんが取材した――。
サウナ室で「アウフグース」をする熱波師・箸休めサトシ氏。
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サウナ室で「アウフグース」をする熱波師・箸休めサトシ氏。

舞うようにタオルをさばくことで観客を楽しませる

サウナと言っても、温浴施設によって様々なタイプがある。愛好家から人気を集める一つが「アウフグース」だ。

アウフグースとは、ドイツ語で「注入」を意味する単語。サウナ室にあるサウナストーブの石に水をかけ、サウナ室に充満した水蒸気をタオルなどで攪拌かくはんさせ熱波を楽しむドイツ発祥の入浴法だ。似た言葉で「ロウリュ」というものがある。日本ではこちらが一般的だが、ロウリュはフィンランドで発祥したサウナストーンに水をかける行為を指す。

サウナ室でアウフグースを行う人を「アウフグースマスター」(施設によってはアウフギーサー、熱波師)と呼ぶ。

アウフグースは、音楽や香りを楽しむだけでなく、アウフグースマスターが舞うようにタオルをさばくことで観客を楽しませるショーの要素も持ち合わせたエンターテインメントの一面も兼ね備えている。

一説には、第二次世界大戦後、サウナに入る人が減ったドイツの温浴施設のスタッフがアウフグースを行い、人々のサウナ利用を促進させたのが始まりという。救いを求めていた時代、アウフグースマスターがサウナでそれを手助けした。

世界大会で競い合う「熱波師のワザ」

アウフグースの特長は、タオルテクニックと物語性を備えたショーにある。イタリアの温浴施設「Cron4」が開催した2007年のチャンピオンシップによりブレイクした。

サウナで汗をかきながら、アウフグースマスターの美しいタオルさばきを堪能する。サウナ内が一つになり、その後も施設内を仲間のような気分で過ごすというショーは、サウナファンの間で話題となり、多くの国のアウフグースマスターが大会に参加するようになった。

そして各国が国内予選を経て優勝者を決定するという、今日のAUFGUSS WMへと発展した。(筆者註:公益社団法人日本サウナ・スパ協会 SAUNA SPA 2022年7月号より一部引用)