アメリカでは宅配ピザチェーン店のドミノ・ピザがグーグルを超える成長を続けている。エンジニアの鴨林広軌さんは「ドミノ・ピザはデジタル化により爆発的な成長を遂げた。これこそが本当のDXであり、多くの日本人のイメージとは違うはずだ」という――。
日本人はDXの意味を誤解している
日本国内で「DX」(デジタル・トランスフォーメーション)というキーワードをよく見るようになった。多くの企業がDXに関心を持ち、取り入れようと奮闘している。
しかし、多くの企業がイメージしているDXと、私がイメージしているDXには大きな乖離があると感じる時がある。
企業が導入しようとしているDXと呼ばれるもので、例えば「AI」「OCR」「RPA」がある。現場では紙や手動で行っていた業務をIT化し、これまで1日かかっていた作業が10分で終わるようになった。
DXのおかげで効率が上ったという導入事例も多々あるが、これらは単なる業務効率化の一種であり本当のDXではない。
本当のDXとは、それを成し遂げることで企業が大きく成長し、または新たな価値を生み出して株価が大きく上昇。その結果、企業価値が高まることだと思っている。企業価値が何も変わらないものをDXと呼ぶのは違和感しかなく、それはDXではなく単なる効率化だ。
これらを達成し、大きく企業が成長した事例がアメリカにあるので見ていきたい。それは、日本でも人気の宅配ピザチェーン「ドミノ・ピザ」だ。
GAFAM超えの成長率
「成功しているデジタル企業」と聞いて、真っ先に思い浮かべるのはGAFAM〔Google、Apple、Facebook(Meta)、Amazon、Microsoft〕ではないだろうか。
ニュースで見ない日はないくらい、GAFAMは今や世界の社会インフラを構築していると言える企業集団。私たちの生活はGAFAMに依存しており、その影響力は懸念の対象になるほどだ。
しかし、本稿で取り上げるドミノ・ピザは、この10年でGAFAMを超える成長を果たしていることはあまり知られていないのではないだろうか。