日本復活には業務効率化にとどまらない変革が必要だ

最近は日本でもDXが重視されるようになってきた。しかし、DX推進のためにはマインドセットを変えていかなければならない。日本企業で長期的にDXを推進していくためには、IT部門と事業部門がうまく連携を図り、新しい価値を提供する手法を開発する必要が出てくる。

企業内において「開発・デザイナの内製化」「デザイン思考」「DevOps体制」「アジャイル開発」「リーンキャンバス」「SaaS事業を評価するためのユニットエコノミクス」を実行できる体制を作り、シリコンバレーの方式でディスラプトな製品を作ることができれば本当のDXを達成できると確信している。

業界のルールを変えるほどの発明によって、既存の企業価値が一変し、大きく株価を上げ、自社の価値を大きく高めることができるのだ。アメリカではタクシー業界の「Uber」、テレビの概念を変えた「Netflix」が成功事例と言われている。

一方、日本国内ではどうだろうか。企業が破壊的なソリューションを作れたのはほんの一握りに過ぎないのが現状だ。

足早に帰途に就くビジネスパーソンたち
写真=iStock.com/AzmanL
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「自分の事業のことは自分が一番良く知っている」という、この言葉を常に意識して仕事をしている。まずは自分がよく知っている領域をモダンな開発手法によって改善し、それを新規事業にするだけで良いと思う。例えば職人の暗黙知を数値化し、IT化することができれば仕事の仕方そのものが変わる。

日本のDXが、単なる人材不足を補うための効率化にとどまることなく、暗黙知の解消を世の中に広げ、新しい価値を生み出す本当のDXを実現することを願うばかりだ。

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