このデータは、ドミノ・ピザやグーグルなどの株価推移を示したものだ。2010年1月時点を基準に相対値で示した。これを見ると、ドミノ・ピザ(青線)が大きく成長していることが分かる。

ドミノ・ピザとグーグルなどの株価推移
ヤフーファイナンスを基に筆者作成。2010年1月を基準に相対値で表示。

日本においてドミノ・ピザの株価が議題に上ることはそこまで多くはないが、実はデジタルで大きな成長を遂げ、市場に評価されていた「隠れDX企業」と言えるだろう。

ではドミノ・ピザはどのようにしてこれを成し遂げたのだろうか。

「ドミノ・ピザのピザ生地は段ボールの味がする」

ドミノ・ピザは1960年創業。アメリカのミシガン州イプシランティの学生街にオープンした小さな店が始まりだ。今では世界中に1万8000店舗以上を展開する巨大宅配ピザサービスチェーンとなり、「焼きたてのピザを注文後30分以内に配達する」という徹底したサービスルールで市場シェアを拡大してきた。

しかしかつて、深刻な危機に直面した。

ドミノ・ピザは2007年ごろから成長が鈍化した。もともとサービスへの評価は業界内でトップクラスであったが、顧客から「ドミノ・ピザのピザ生地は段ボールの味がする」「ピザソースがケチャップの味がする」と酷評され、顧客離れが数字となって表れた。

ドミノ・ピザの売上高推移
筆者作成

さらに追い打ちをかけるようにSNSでバイトテロが発生。その投稿が大炎上し、店の評判は一気に下がった。同社の調査資料によると、2009年4月、従業員2名が食材にくしゃみをしたり、おならを吹きかけたり、鼻の穴に入れた食材をピザ生地に混ぜたりした動画をYouTube上に投稿した。

動画はソーシャルメディアなどを通して一気に拡散し、動画が削除されるまでの数日の間で200万回以上再生され、Google検索の「Domino's」では1ページ目に表示される事態になった。

当時のCEO、パトリック・ドイル氏がYouTube上に謝罪動画ビデオを投稿するなどして対応したが、初動の遅れなども影響し、不買運動に似た現象が起きた。その結果、同社のブランドイメージは大きく後退し、株価はわずか1年半で最高値の$33.26から$3.78にまで急落した。

まさにデジタルが引き起こした一瞬の出来事だった。

顧客との接点を活用したドミノ・ピザ

一連の炎上により、ドミノ・ピザはソーシャルメディアの影響力の高さを痛感した。当時創業4年のYouTubeが、老舗のドミノ・ピザを揺るがしたのだ。

この教訓から、ドミノ・ピザは複数のメディアチャンネルの活用をスタート。Youtubeに投稿された動画「Domino's Pizza Turnaround」では辛辣しんらつな批判コメントが赤裸々に読み上げられた。そして、ドミノ・ピザ社長のパトリック・ドイル氏が「変わるためには(お客様の不満を)認めることが必要なのです」と力説する。批判的な声を隠さず、SNSを使って客の声に耳を傾ける姿勢は好意的に受け入れられたが、信頼を100%回復させるまでには至らなかった。