自分のセンスを判断基準にしない

当社は元々、名古屋で創業し、医薬品や化粧品の卸をやっておりました。60年ほど前から商品開発も始めましたが、お取引のある製薬会社さんの競合商品を作るわけにはいきません。そこで「ブルーレット」や「アンメルツ」のような、それまで市場にはなかった商品で勝負することになったのです。私たちはこのやり方を「小さな池の大きな魚」と呼んでいます。

小林製薬社長 小林章浩氏
写真提供=小林製薬
小林製薬社長 小林章浩氏

大きな池(市場)には魚(需要)がたくさんいるけれど、釣り人(競合)も多いため釣果(シェア)を得るのは難しい。ならば小さくともまだ競合がいない池を見つけ、そこでNo.1の釣り人になろうというニッチ戦略です。一番乗りですからブランド力は強く、競合品が出てきたとしてもシェアは下がりにくい。ニッチな商品ですから価格競争になりにくく、安定した利益が上がります。その利益を製品改良や製品ラインアップ拡充にあて、さらにシェアを高める好循環ができており、上場来24期連続増益を継続中です。