ビッグデータを独占できる中国が圧倒的に有利

AIを進化させるには、大量の学習データが必要となります。つまりビッグデータが不可欠です。ビッグデータを簡単に集められる中華人民共和国は、AIのディープラーニング(深層学習)において圧倒的に有利といえます。なにしろ人口約14億人のビッグデータを独り占めにできるのですから。

しかし、AIとビッグデータ、キャッシュレス社会がつながると、思いもよらないことが起きます。最近では、中国人は現金を使わなくなっています。中国から大勢の観光客が日本に来たところ、一番不便なことが「日本に来たら、財布を買わなければいけないことだ」というのです。

中国では露店だろうとどこだろうと、QRコードの紙が貼ってあるのでスマホでそのQRコードを読み取ると、一瞬にして支払いが完了します。

2018年11月14日、中国・深圳の露店で朝食を購入する女性はQRコード決済している
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2024年に新紙幣を発行する日本はキャッシュレス化に逆行

中国人はほとんどアリババのアリペイを使っているので、アリババにはこの膨大なデータが集まってきます。アリババの経営者は中国共産党の党員ですから、共産党の指示によって動いています。

日本でも経済産業省がキャッシュレス化を推進しています。2025年に開催される大阪・関西万博に向けて、電子決済の普及を進めていく方針だと発表しました。

また、先を見据えて2027年6月までにキャッシュレス決済比率を4割程度にしたいということです。

しかし、日本は現金払いが主流で、しかも2024年の上期には新紙幣が発行されるというのですから、キャッシュレス化に逆行しています。