部課長はもとより、店長すら存在しない

中間管理職なし、人事・経理・総務部なし、社長は4年で交代する任期制。そんな「人事破壊」ともいえる制度で、快進撃を続ける組織が広島の「メガネ21」だ。

従業員数191名、広島県を中心に120店あまりを擁するこの眼鏡小売りチェーンは、当時県内でトップシェアの会社から独立した社員が1986年に創業した。以来、独自の組織で競争が激化する眼鏡市場を走り続けている。

創業2年目でようやく2億円に届く程度だった売上高は右肩上がりに伸び、今や83億円にまで達した。なぜこのような型破りの組織が順調に成長してこられたのか。

店内で接客する一般職の社員。ノルマや売り上げ目標がまったくないため、100%顧客目線の接客をすることができる。

部課長はもとより、店長さえ存在しないこの会社では、各店に責任者を一人ずつ置いている。その責任者もお客のクレーム対応など対外的な役割を担うだけで、現場を「管理」する責任はない。さらに個人・各店ともノルマも売り上げ目標もないという自由さだ。

銀行から転職し、同社の販売員として働く女性スタッフは、「ノルマがないので、お客様の立場にたった販売に最善が尽くせるんです。前職では毎月のノルマに振り回され、お客様にふさわしい商品でなくても無理に売らなくてはならず、休日も心が休まることがなかった。今は、友人にも『転職してから顔色がよくなった』と言われるほど、仕事が楽しくなりました」と顔をほころばせる。