大きく変化したビジネスモデル

社長賞を通算7回も受けたことのあるトップセールスマンの中田勇人さんは、週末に翌週の顧客とのアポイントを取り、効率よく営業できるように工夫をしている。

「退社する時間は18時から18時30分の間。生後4カ月の息子を毎日お風呂に入れるのが私の役目です。また、空いた時間を活用して語学やファイナンシャルプランナー資格の勉強も始めました。日中の勤務時間中は仕事に集中し、以前と比べ毎日充実しています」

こう話すのは大和証券本店の資産コンサルタント部の中田勇人・上席課長代理。現在32歳の中田さんは2001年の入社以来、営業畑を歩んできた。過去10回あった社長賞で通算7回も受賞したトップセールスマンだ。

通常、証券会社の営業というと、深夜であっても顧客の自宅に飛び込んでいき、「この株式は、いまが買いどきです」と猛烈に売り込む印象が強い。上司から「ノルマの数字を達成するまで帰ってくるな」との厳命を受け、深夜まで外回りするという話を伝え聞くこともあった。

それとは対照的な中田課長代理の働き振りを実現させているのが、07年6月から大和証券グループの取り組みとして始まった「19時前退社の励行」だ。時差のある海外市場を担当する部署などを除いて19時までに仕事を終え、職場を離れるよう奨励されている。その後も残業が必要なときには、事前に上司へ申請する。