メガネ21 創業者 平本清 ひらもと・きよし●1950年、広島県生まれ。68年、県内の大手眼鏡チェーンに入社、抜群の売り上げ成績を挙げる。86年、社長交代劇に巻き込まれて解雇される。同年、同社を退職した4人でメガネ21を設立。

この「超フラット組織」を支えるのが、全社をつなぐ社内ウェブの存在だ。業務提案から重要事項の決定まで、普通なら管理職から経営陣へと稟議書を回す案件も、ウェブへの書き込みという形で議題を公開。全社員の意見をつのり、反対意見が現れなければ決定とみなす。過去には新規出店用の2億円の土地購入が、ウェブ上で決定されたこともあったという。

創業メンバーの一人で2004年まで社長を務めた平本清は、この仕組みを「会議のために集まる必要がなく、決定も早い。効率化を追求した結果」であると胸を張る。

ウェブには会社の財務状況や各店の損益、今後の出店計画も公開されており、「ガラス張り」の経営だ。「すべてを徹底的にオープンにすれば、その情報を利用して社員一人ひとりが自主的に動くようになり、結果的に業績は上がるものです」と平本は語る。

驚くべきは、社員の人事評価、給与、賞与の金額まですべてウェブで公開されていることだ。新卒で入社した若手社員の一人、平本大は「評価理由は懇談でフィードバックされますし、結果だけが反映される風土でもない」と、この仕組みを自然に受け止めている。

「評価を上げるには、同僚、お客様、取引先など周囲の人に信頼されていることが必須なんです。他社では部下の業績を上司が横取りするといった話も聞きますが、ここでそんなことをすれば信用を失って評価が下がるだけです」