創業者が優秀な社員をつなぎとめるために支給していたさまざまな手当は次々にカットされた。同時に、それまで社員が持っていた「みんなで稼いで会社を大きくしよう」というモチベーションもあっという間に失われていった。結果、平本をはじめとした、創業者の下で誠実に業績を挙げていた社員たちは次々に会社を去らざるをえなくなった。

だからこそ、平本たちは、メガネ21を創業したときに「社員第一主義」を社是として掲げた。社員の生活向上と幸福の追求なくして顧客サービスの向上はない。それは会社利益を内部に積み上げず、積極的に社員へ分配することも意味する。内部留保をゼロにしたのはそんな理由からだ。

「経営者が全権を握ると、その人がこけたら会社もダメになる。ならば権限は全社員に分散させればいい。ホストコンピュータがダウンしても全体で分散処理できるインターネット型の組織にすればいいんです」