民間人による暴発的なテロの時代に警察は対処できない

精神科医としての経験からいうと、今の警察は治安を軽視しているようにしか思えない。

私の患者さんたちがストーカー被害に遭っても、警察がなかなか被害届を受け付けてくれないそうだ。人手不足を理由にされるらしい。

ところが、警察を一歩出ると、一時停止違反をつかまえるために一日中3~4人も警官が立っている交差点がいたるところにある。

交通事故死者数はかつての8分の1になっているし、一時停止違反で重大事故などめったにないのに、治安への人員配置を怠って、交通取り締まりに人を割くというのは、警察が違反金狙いの金儲け集団に変貌したとしか思えない。

私の邪推かもしれないが、中村格(いたる)現警察庁長官が就任して以来、その傾向が強まっている気がする。

2020年1月10日 東京・神宮外苑にて 警視庁機動隊視察式
写真=iStock.com/taka4332
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多くの場合、一生治らないようなPTSDの原因にもなるレイプ事件にしても、警察は被害者側からの被害届を受理はするものの、そのうち3割しか起訴しないのだ。

いずれにせよ、今回の元首相銃撃事件で、警備は明らかに手薄だったし、一発目の銃声が鳴り響き、安倍氏がきょとんとしているのに、3秒後の2発目の発射(これが致命傷になった)までその前後にSPが守りに入ることもなかった。

警察がもっとしっかりしていたらこんな悲劇は起きなかった。民間人による暴発的なテロの時代には、治安組織としての警察の再建の必要性を痛感した事件だったことは確かだ。

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