「絶対売れない」と言われた70~80代向け本がバカ売れ
高齢者向けに私が執筆した本が売れ続けている。自慢したいわけではない。これは「ニュース」なのだ。
『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)は3月のトーハンの新書ランキングで1位に、また『80歳の壁』(幻冬舎新書)は累積15万部を超え、4月に3週連続で同1位になり、4月の新書ランキングで1位になった。
ウクライナを扱ったベストセラーの新書より売れているのだから、高齢者がいかにこういう本を望んでいたかがわかる。『週刊新潮』でも私のベストセラーに目をつけて、ずばり「70歳が老化の分かれ道」という特集を組んだ。その号の売れ行きがかなりよかったとのことでその後、3週続けて高齢者対策の4ページの特集を組んだほどだ。
実は、私は以前からこうしたニーズに気づいていた。高齢者向けの本の企画をあれこれ出していたのだが、70歳とか80歳とかをタイトルにつけると、判で押したように「それでは、本が売れない」と言われて、別のタイトルに変えられたり、「せめて『60代』にしてほしい」と入れ替えを求められたりしてきた。
潮目が変わったのはコロナ渦に入ってからだ。2年前に『六十代と七十代 心と体の整え方』(バジリコ)を、昨春に『60代から心と体がラクになる生き方』(朝日新書)という新書を出したところ、前者は新書より割高な四六判にもかかわらず、今も売れている。やっと70歳というのをタイトルに入れて出版することが許されてベストセラーになったのだ。
この勢いに乗って、では80歳で勝負しようということになり、『80歳の壁』を出したら、これも当たった。それも初速がすごかった。発売当初、アマゾン全体の1位になったのだ。
70歳の本がベストセラーになっていたので、書店でこの本を売る自信はあったが、さすがに80歳を対象にした本がオンラインのアマゾンで売れるとは思わなかった。書店に出かけるよりアマゾンで買うほうが楽なのかもしれない。スマホを持つ高齢者も増え、また現役時代からPCに触れている高齢者が80代超というケースも多いのだろう。