楽観的な人より悲観的な人の方が「詐欺師」を見抜けない
物ごとを悲観的に考えるクセがあると、つねに不安を抱えることになり、気持ちも沈みがちになります。
気持ちが沈んでいれば、自然と表情も暗くなり、周囲の人に陰気な印象を与えてしまうことになります。
デメリットは、それだけではありません。
悲観的に考える人は、意外に「地雷」を踏みやすいことも明らかになっています。
これは社会心理学の実験によってわかったことですが、「人を見たら泥棒と思え」とネガティブに考える人ほど、詐欺に引っかかる可能性が高くなるそうです。
「人を見たら泥棒と思え」というのは、「知らない人は疑ってかかれ」とか「軽々しく人を信用してはならない」という人間不信の悲観的な考え方です。
その対極として、「渡る世間に鬼はない」と楽観的に周囲を見ている人もいるわけですが、楽観的な人に比べて、悲観的な人は、「誰が詐欺師なのか?」を見抜けないといいます。
多くの人は、「渡る世間に鬼はない」と甘く考える人の方が、詐欺の被害に遭いやすいと思っていますから、まったく逆の結果なのです。
なぜかというと、人間不信の人は「他人はすべて悪いやつだ」と思い込んでいますから、全員が悪者に見えてしまうため、その中から本物のワルを見つけ出すことができません。
それに比べて、「渡る世間に鬼はない」と思っている人は、全員が善人と思っていますから、少しでも不審なところがあれば、「こいつだけ、ちょっと変だぞ」ということに気づきやすいのです。
社会心理学者の山岸俊男さんによれば、人間不信型の人は「一度、相手を信用すると全面的に信用してしまう傾向が強い」といいますから、「自分は用心深いから大丈夫」という人ほど、まったくアテにならないということになります。
大事なことは、できるだけ物ごとを悲観的に考えないように意識することです。
悲観的な考え方から抜け出せれば、偏った物の見方をしなくなりますから、視野を広く持つことができます。
視野が広くなれば、いろいろな可能性が考えられるようになり、これまでに気づかなかった他の選択肢を持つことができるのです。
不安や心配をシミュレーションし「見える化」する
気持ちが暗くなるような不安なことや心配ごとがある場合は、あらかじめシミュレーションをする習慣を身につけておくことが大切です。
起こるかどうかわからないことを心配していたらキリがありません。
でも、実際に起こるかもしれませんから、目を背けてばかりもいられません。
・もし、本当に起こったらどうするか?
・起こらなかったら、どうなるか?
これは「予期不安」の対策にもなりますが、不安や心配を具体的にイメージして、早い段階で具体策を検討しておけば、ムダに暗くならずに済みます。
時間のある時に、スマホのメモ機能や小さなノートを使って、考えられる限りの不安材料や心配ごとをリストアップして、それぞれを個別に検討してみるのです。
その作業を繰り返していけば、「これは考えすぎだな」とか、「これは可能性が高そうだ」ということがわかってきます。
不安や心配を「見える化」することで、気持ちを落ち着けることができます。