幸せそうに生きている人はどんな考え方をしているのか。精神科医の和田秀樹さんは「日本人に多い『勝ち負けで物ごとを判断する』では大事な判断を見誤る。大事なことは、勝ち負けではなく、結果的に『生き残る』ということだ」という――。

※本稿は、和田秀樹『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

ソファに座ってテレビゲームをやる二人の男性
写真=iStock.com/AleksandarGeorgiev
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「勝ち負け思考」では、無意識に勝負を避けてしまう

日本人には、「勝ち負けで物ごとを判断する」という人がたくさんいます。

特に、男性にそうした気質の人が多いようです。

相手の意見を受け入れたら負けとか、相手を言い負かしたら勝ちなど、何かにつけて勝ち負けで考える傾向が強いのです。

相手を言い負かしたところで、相手が考え方を変えてくれることはほとんどありません。本人は「勝った」つもりでいても、それほど意味はありません。

和田秀樹『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』(クロスメディア・パブリッシング)
和田秀樹『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』(クロスメディア・パブリッシング)

負ければ気持ちが暗くなりますから、意味のない考え方だと早く気づく必要があります。

物ごとを勝ち負けで考え続けていると、人間には「負けたくない」という心理が強くありますから、負けたくないあまりに、逆に「消極的」になってしまいます。

自分の負けを回避するために、無意識に「勝負」を避けて、何もやらないという方向に気持ちが向かってしまうのです。

じつは、私自身も、かつては「勝ち負け思考」の強い人間でした。

子供の頃から、つねに「賢くありたい」と思っていて、人を言い負かすのが好きなタイプだったのです。

この理論とこの理論なら、こっちが勝っている……という発想の「勝負人生」を歩んできたと思います。

人生を勝ち負けで考えますから、勝てば有頂天になりますが、負ければ気持ちが暗くなり、表情も険しくなっていました。