ビタミンやポリフェノールも抗酸化物質の一つ

抗酸化物質には、さまざまなものがある。

ビタミンCやビタミンEなどのビタミン類も、抗酸化物質である。

あるいは、ポリフェノール類と呼ばれるものや、アントシアニンやカロテノイドなども代表的な抗酸化物質である。

これらの抗酸化物質を多く含んでいるのが、植物である。

植物がビタミン類を多く含んでいることは、説明するまでもないだろう。

リンゴやミカン、緑黄色野菜などは、多くのビタミン類を含んでいる。

緑色のリンゴを持つ女性の手
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ポリフェノールは植物が光合成を行うときにできる物質の総称だ。植物に多く含まれる物質だ。よくよく考えてみれば、私たちは多くの植物を食べている。

たとえば、大豆に含まれるイソフラボンや、緑茶に含まれるカテキン、そばに含まれているルチンなどもポリフェノールである。

また、アントシアニンやカロテノイドは、植物の花や果実を色づけるための色素である。

若返り物質を持つ植物が若返りをしないという不思議

私たちがアンチエイジングのために利用している物質は、ほとんどが植物由来である。

植物は、アンチエイジング物質を豊富に持っているのだ。

しかし、不思議なことがある。

若返りの物質を豊富に持っているはずの植物でさえも、やがては衰えて枯れていく。

アンチエイジング物質を持つ植物自身は、アンチエイジングしないのだ。

それでは、どうして植物は、アンチエイジング物質を持っているのだろう?

じつは、これには植物の壮絶な戦いが関係している。

植物に襲来する病原菌は多い。しかし植物は動くことができないから、病原菌がウヨウヨいるような環境でも逃げられない。

病原菌がやってきたら、植物はどうするのだろう。

植物病原菌の襲撃を感知すると、植物は活性酸素を大量発生させる。

活性酸素は、ありとあらゆるものを錆びつかせてしまう毒性物質である。植物は、この活性酸素を大量に発生させて病原菌を撃退する。おそらく、かつてこの活性酸素は攻撃力の高い武器だったのだろう。

しかし病原菌は病原菌で、植物に感染しなければ生きていくことができないから、植物の防御の対応策を進化させていく。そのため、植物と病原菌とが進化を果たした現在では、活性酸素だけで病原菌を撃退することはできない。

それでも活性酸素の発生は、今でも植物にとって重要な役割を果たしている。活性酸素が発生しているということは、病原菌が襲来しているということを表している。そのため、活性酸素の発生を感じると、植物はこの緊急事態を他の細胞にも伝えていく。つまり、活性酸素は、臨戦態勢をとる合図の役割をしているのである。

活性酸素の発生によって、植物の体は臨戦態勢を整える。まだ病原菌に侵入されていない細胞は、壁面を固くして防御力を上げる。さらに、抗菌物質を大量に生産して、病原菌との戦いに備える。しかし、これらの対抗策は準備にやや時間がかかるという欠点がある。

もし、病原菌の侵入を許してしまったら、細胞はどうすれば良いのだろうか?