路肩のない高速道路で軽微な事故に遭った場合、どこに駐停車すればいいのだろうか。モータージャーナリストの菰田潔さんは「路肩に十分な広さがない場合は、その場から動いたほうがいい場合もある。渋滞中だからといって、相手方のドライバーと話をするために、むやみに車外に出てはいけない」という――。
自動車事故
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高速道路で事故に遭ったらまずはその場で停車

自動車を運転していて一番嫌なことは交通事故だろう。安全運転しているつもりでも事故になってしまうことがあるし、もらい事故もある。一般ドライバーで事故に慣れている人はまずいないから慌ててしまう。

とりわけ一般ドライバーにとって注意が必要なのは高速道路上での事故だ。ハイスピードでクルマが行き交うので、対応を間違えると大事故になる恐れもある。停車中のクルマに後続車が突っ込むという事故はたびたび起きている。事故を起こしてしまったとしても、慌てずに落ち着いて対応してほしい。

まず大原則となるのは道路交通法だ。72条1項には「交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない」とある。このため事故が起きれば、その場で停車する。

しかし、同じ道路交通法は、高速道路上の駐停車を禁止している。SAやPAで「高速道路は駐停車禁止」というポスターを見かけたことがあるかもしれない。どちらを優先すればいいのか。

高速上の駐停車も「やむを得ない」2つの判断基準

道路交通法の75条8項は、①SAやPA、②故障など、②高速バス、③料金所という4つの例外を記している。そして、②の条文はこうなっている。「故障その他の理由により停車し、又は駐車することがやむを得ない場合において、停車又は駐車のため十分な幅員がある路肩又は路側帯に停車し、又は駐車するとき」。このため、やむを得ない場合はハザードランプを点灯させて、路肩に寄せて停車することになる。

このとき判断に迷うのが「やむを得ない場合」の定義だろう。判断の基準となるのは「けがをしているか」と「自走できるか」という2点だ。けが人のいる人身事故の場合は、警察の事故調査も綿密に行われるから、事故現場からなるべく近い路肩で待機したほうがいい。また自走できない場合は、動けないのだからその場にいるしかない。