事故現場から移動したほうが安全なケース

一方、けが人のいない、物損だけの軽微な事故の場合はどうすればいいのか。たとえば渋滞中の接触事故だ。車線が複数あり、路肩に十分なスペースがあればいいが、首都高などの都市高速道路では路肩のないところもある。そんなところで事故が起きた場合、停車したままでは通行止めになってしまう。それでいいのだろうか。

こうした場所では、やはり停車しないほうがいい。トンネルの中や橋の上、工事中などで路肩が狭く止められない場所についても同様だ。クルマが動かせる状態なら路肩が広い場所まで進んでから止める。いくら左端に寄せてもクルマが走行車線にはみ出すようなら、そこに止めてはいけない。後続車が突っ込む危険があるからだ。

走行車線や追越車線で止まった場合、そこでクルマから降りた人が後続車に跳ねられるという二次事故が起きている。もしクルマを降りるとしても、必ず十分な広さのある路肩に退避してからにしてほしい。

相手車両のドライバーと話すために、むやみに車外に出るのはNGだ。相手方と話をする場合は十分な広さのある路肩まで走行し、そのうえで走行車線側でなくガードレール側に降りてからにしてほしい。2009年には、首都高の本線上で事故の当事者同士が話し合いをしているところに他車が衝突する事故が起きている。

勝手に移動すると相手車両から当て逃げと思われる

渋滞中で後続車両に悪いからとか、大した事故ではないからと、次のパーキングエリアやサービスエリアまで行ってしまおうと勝手に判断すると、相手車両から当て逃げと思われてしまうことがあるから要注意だ。

この場合、道交法の危険防止等措置義務違反(1年以下の懲役または10万円以下の罰金)と報告義務違反(3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金)に問われる恐れがある。相手車両の人がけがをしていた場合は救護義務違反(ひき逃げ)となり、さらに罰則は重くなる。

パトカー
写真=iStock.com/joel-t
※写真はイメージです

また警察に届けないと事故証明をもらうことができず、保険が下りないということも考えられるから、現場から大きく移動してしまうのはいろいろと問題が多い。