4月7日、反ワクチン集団「神真都(ヤマト)Q」のメンバー4人が医療機関に無断で侵入したとして逮捕された。また20日には、リーダー格とされる元俳優の男も逮捕された。一体どんな集団なのか。関係者に接触してきた著述家のKヒロ氏は、神真都Qには他の陰謀論集団とは明らかに異なる特徴がいくつかあると言う――。
チェスの盤と散乱する駒
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警視庁公安部が事務所を家宅捜査

4月7日、東京都渋谷区のクリニックに無断で立ち入り、新型コロナワクチン接種反対の抗議活動をしたとして、陰謀論集団の男女4人が逮捕された。報道を見た多くの人が、「神真都Q」という集団名、そして「ヤマトキュー」というその読みを初めて知ったではないだろうか。9日には集団の事務所を警視庁公安部が家宅捜索したという続報もあり、当局からテロ集団と同等の存在とみなされているのかと驚いたかもしれない。

さらに20日には、「岡本一兵衛」(イチベイ)を名乗るリーダー格の人物が、建造物侵入の疑いで警視庁公安部に逮捕された。

筆者は以前から、元「神真都Q」関係者と接触したり、現役メンバーの家族からの相談を受けたりしてきた(「『東京ドームに押しかけて接種妨害』反ワクチン団体に参加しているのはどんな人々なのか」)。この突如として現れた不可思議な集団「神真都Q」とは何か。どのような人々が参加しているのか、他の陰謀論集団と何が共通していて、何が決定的に違うのか。いま筆者が把握していることを、当記事で説明しようと思う。

前身は人気ユーチューバーを囲むサークル活動

神真都Qの前身は、ある人気ユーチューバーを囲む一種のサークル活動だった。ただのサークル活動と違ったのは、その人気者が「イチベイ」を名乗る2枚目の元俳優で(俳優時代は「岡崎礼」と名乗っていた)、話術にけ、番組の話題が反ワクチン論を含む陰謀論だった点だ。

「イチベイを囲む会」的な集団だったこの頃の動画が、YouTubeに数多く残っている。幅広い年齢層の女性が参加し、屋外で交流を楽しんでいる様子は、アイドルイベント以外の何物でもない。

このライトな陰謀論サークルに、陰謀論インフルエンサーの「甲兄」こと村井大介などが合流し、アメリカの陰謀論集団「Qアノン」の主張を独自解釈したメッセージをYouTubeや各種イベントで発信するようになった。