メンバー逮捕後に「相談メール」が急増した

「1カ月以上前から夫が出勤しなくなり、一日中ずっと陰謀論仲間と連絡を取り合っています。たぶん会社を解雇されたか辞めたのだと思います。今は私の収入でやりくりしていますが、これからどうなるのかわからず不安です」

陰鬱な人
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陰謀論集団「神真都Q(ヤマトキュー)」の本部に公安部の家宅捜索が入った4月9日、筆者が運営するブログにそんなメールが届いた。差出人はある地方都市に暮らす、神真都Qの構成員の妻を名乗る人物だった(構成員の名を仮にAさんとしておく)。

新型コロナワクチンの接種を妨害するため東京・渋谷区のクリニックに侵入したとして、神真都Qの構成員4人が現行犯逮捕されたのは4月7日。20日にはリーダー格のイチベイ(岡本一兵衛)こと倉岡宏行容疑者も、建造物侵入の疑いで逮捕された。

以前から筆者のもとには、同団体の関係者やその親族からの相談が寄せられてきたが、メンバーの逮捕後はその数がいっそう増えている。今回はその中から、相談者に了承をいただいた分について、本人特定を避ける形で、お伝えしたい。

反ワクチンデモに参加して達成感を得た

夫が神真都Qに入れ込むようになった背景には会社での立場の変化があったと、Aさんの妻は考えている。仕事ではやり手だったが、あるときパワハラでトラブルを起こした。その結果、閑職に追いやられたうえ、後輩が上司になった。家庭内での態度は、見る見るすさんでいった。

「パワハラでつまずいた後は、階段を転げ落ちるような感じでした。新型コロナがらみの自粛、マスクやワクチンにもいらだっていました。そんな中、あるとき神真都Qのデモに参加し、ひさしぶりの達成感があったみたいで、そこから何もかも変わっていきました。夫にとって、神真都Qが『職場』になったのだと思います」