いまや日本はアメリカに次ぐ富裕層大国なのだ。その一方で貧困に苦しむ人も急増。彼ら富裕層と貧困層の実態を追ってみる。
都内にある豪華な会員制の都市型リゾートホテル。最高級のロイヤルスイートの会員権の価格は約3000万円以上もする。しかし、すでに会員の枠は一杯で空きを待っている人も多い。ホテルの施設内に入れるのは会員とその招待客だけという機密性が人気の的で、「事前に予約しておくと、誰にも会わずに地下駐車場からダイレクトに部屋へ行けるのです」と利用者の一人が教えてくれた。
週末ともなると、地下の駐車場には3000万円は下らないフェラーリがずらりと並ぶ。会員は芸能人や企業のオーナーたち。そんな会員男性の一人はベンツだけでなんと数十台を所有し、さらにフェラーリをはじめとする高級外車を数十台ほど持っている。そして、都心のビルの駐車場一フロアを借り切り、その費用だけで月に100万円単位のお金を払っているそうだ。
長らくデフレ不況にあえいできた日本だが、こんなスーパーリッチたちが存在している。いや、それどころか世界同時不況に突入したいまでも、富裕層は着実に増えているのだ。
メリルリンチ・グローバル・ウェルス・マネジメントとキャップジェミニが行った「第15回ワールド・ウェルス・レポート」によると、100万米ドル以上の投資可能資産を保有する富裕層は、2010年時点で世界に1090万人おり、前回09年の調査より8.3%も増加した。その保有資産は42兆7000億米ドルに達し、ほぼすべての地域で07年の金融危機以前の水準に戻っている。その中で、日本の富裕層人口も5.4%増加して174万人となり、アメリカに次ぐ二番目の富裕層大国としての地位を盤石なものにしている(図表参照)。