憧れの職業の選択肢にも入っていなかったが…
ところで、子どもの憧れの職業ランキングでYouTuberが上位に入るようになったのはいつごろからなのだろうか。
小学1~6年生の1200人を対象とした学研教育総合研究所の「小学生の生活・学習・グローバル意識に関する調査」(2016年9月調査)によると、将来つきたい職業ランキングでトップは「パティシエ」と「ケーキ屋」が同率1位、3位が「プロサッカー選手」などとなっていた。
この時、「ひときわ目を引く」とコメントされたのが、「その他」の自由記述欄の「YouTuber」(0.5%、6人)という回答だ。調査では、スマホやパソコンなどで普段利用しているサービスについても尋ねており、新たに選択肢に追加された「YouTube」(36.1%)が、「携帯メール」(30.9%)と「ライン」(17.1%)を上回り、1位となった。
同調査は毎年行われ、その度に「YouTuber」の順位は上昇。2019年には、YouTuberはとうとう男子小学生の将来つきたい職業ランキングで1位となっている。
この結果を見ると、2016年ごろから徐々に子どもたちの間でYouTuberの認知度が高くなってきたと考えられるだろう。
「YouTuberになりたい」子どもになんと声を掛けるか
小学生に人気のYouTuberを調べた調査では、ヒカキンの「HIkakinTV」や「Fischer's-フィッシャーズ-」のほか、「まいぜんシスターズ」などゲーム実況動画を配信するチャンネルが上位にランクインした。
GIGAスクール構想でタブレットが一人一台のものとなり、子どもにとってインターネットは当たり前のものになった。自治体によっては、学校のタブレットで自由にYouTubeが見られるところもある。動画を見て学習することも増えており、YouTuberはより一層身近な存在となっているのだ。小学校の公開授業で、「YouTuberになりたい」と答えている男児を、実際に見かけたこともある。
これまで述べてきたように、専業で生活できる人は多くなく、YouTuberに憧れる子どもを心配する保護者の気持ちもわかる。しかし、人を楽しませたり役立つ動画には意義があるし、ファン獲得や発信力強化のために、本業が別にある人が副業的にYouTuberをしていることも多い。
YouTuberになりたいという子には、「伝える力や表現する力を身につけるためにまずは勉強しよう。自分が興味があること、発信したいことを探そう」などと伝えるといいのではないだろうか。アイドルなどと同じで、必ずなれる職業ではなく、それで生活できるとは限らないが、学んだことはきっと別のところでも生きるはずだ。