UUUM専属切りの背景に「伸び悩み」
では、トップYouTuber以外の広告収入はどうなっているのだろうか。
UUUMは2022年5月、専属契約している約300組のYouTuberのうち、約半数の契約形態を「専属契約」から「ネットワーク契約」に切り替えることを発表している。ネットワーク契約は、音源・画像素材の提供、企業PR案件の紹介などが受けられるUUUMネットワーク「CREAS」(月額500円)を利用できる契約形態となる。
実は近年、UUUMのチャンネル数は増え続ける一方で、総再生数はあまり伸びていない。たとえば、21年第3四半期から第4四半期にかけてチャンネル数は13767から14440と4.9%増加した一方で、総再生数は113億4500万回から116億3700万回へと2.6%増にとどまっている。
1チャンネルあたりの再生回数は下がっており、小規模なチャンネルの割合が増えていると考えられるのだ。つまり、広告収入が伸び悩んだための専属切りと考えられる。「UUUMの再生回数の半分以上は上位20人のYouTuberによる」という推測もある。
YouTubeの規約変更で収益源を絶たれることも
収益の不安定さは、コロナ禍でもあぶり出された。コロナ禍が始まった2020年4月ごろ、ステイホーム効果によって視聴時間は長くなる一方で、さまざまなYouTuberが「広告収入が激減した」と嘆く動画を投稿していた。前述の通り、多くの企業が広告出稿をひかえたためだ。
2019年1月には、チャンネル登録者数で240万人いたラファエルがアカウント停止処分となり、損害は5000万円以上に上ったという。停止処分は、コミュニティガイドライン違反が原因と言われている。
2019年11月には、子ども向けコンテンツへの規約が変更され、子ども向けコンテンツは申請の必要が生じる上、パーソナライズド広告の掲載は禁止されるなどした。これによって、ゲームやおもちゃなどを扱った動画を投稿していた複数のYouTuberが「広告収入激減」「広告収入完全にオワタ」などと訴える動画をアップした。
このようにYouTubeのガイドラインは日々規制を強めており、それまでは問題なくても、規制開始以後は動画が削除されたり、アカウント停止処分対象となったり、収益性が著しく下がってしまうことがあるのだ。
一発逆転を夢見てYouTuberを目指す人は後を絶たない。確かにトップ層は数億円以上の収入が見込める一方で、事務所所属でも月額広告収入は平均で数万円以下。YouTube側の考え次第で突然、収益源が絶たれる可能性があるのが現実なのだ。