50代後半の評価が60歳からの給与に反映される

会社に残ったとしても50代のバブル入社組にはさらに厳しい試練が待ち受けている。多くの企業は従来の福祉的雇用の反省を踏まえ、65歳以上に選別の基準を設けるだけではなく、60歳からの再雇用者にも成果・業績と処遇の一致を厳格化する仕組みの構築を進めている。

硬いシュルダーを持つ中年のアジアのビジネスマン
写真=iStock.com/metamorworks
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たとえば、56歳から60歳までの5年間の人事評価で給与などの処遇を決め、上位ランクに位置づけられた人は60歳時点の給与を再雇用後も保障し、下のランクに位置づけられた社員は給与が半減する制度にした企業もある。

ある情報機器メーカーでは51歳以上の社員を対象に面談を毎年実施し、評価が低く、新しい仕事に挑戦する意欲が欠けている社員には早期退職による割増退職金プランを勧めている。

同社の人事部長はきっぱりと次のように話す。

「会社にぶら下がり、しがみついている社員が65歳までいてもらうのは互いに不幸だ。50代から緊張感を持って仕事をしてもらわないと、60歳以降も意欲を持って働いてもらうのは難しい。そのための仕組みだ」

この会社では60歳以降の再雇用については今までの仕事で得意とするスキルや分野を自ら提示してもらい、その仕事に見合った賃金を支払う仕組みを検討している。

「自分がやりたい仕事など得意分野で働いてもらう。スキルによって時給1500円、2000円、3000円と格付けし、単年度契約で働いてもらう。ただし、スキルが生かせる部署があるとは限らないし、中には『あの人はちょっと勘弁してよ』という部署もある。うまくマッチングできなければ安い時給で働くことになる。60歳までのスキルや職場での信頼を勝ち得ているかが大きく問われることになる」