脳の老化を防ぐにはどうすればいいのか。脳科学者の中野信子さんは「自分が楽しむのと同時に誰かを楽しませて、脳が感じる快楽を何十倍にもすることが効果的だ」という――。

※本稿は、中野信子『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(アスコム)の一部を再編集したものです。

ビジネスミーティング
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74歳男性が「キレキレな脳」でいられるワケ

知る人ぞ知る財界人のYさんは、御年74歳。政界の実力者といわれるような人たちが頭を下げて、「その生き様を学ばせてください!」と集まってくるようなお方です。

背はそんなに高くなく、男性にしては小柄なのですが、実に迫力のある雰囲気を持っています。各方面に事業を広げて成功を収められていることもあり、ときには視線の鋭い黒服の男性が側に控えているため、ドキドキしてしまいます。

でも実際にお話をしてみると、とても気さくで、話題も豊富。いつも笑顔を絶やさず、頭の回転も速くて、会話が楽しいという素敵なお爺様なのです。

とにかくこの方は、迫力のあるオーラを発散していながらも、年齢相応の「くたびれ感」を一切出していません。いつも攻めの姿勢で、常に新しいことにチャレンジしています。さらにそこで、一定の成果を収めるのです。

Yさんの行動で、特にすごいなあと感じた出来事を紹介します。

東日本大震災直後の話になるのですが、Yさんは真っ先に東北に飛んでいきました。とはいっても、ボランティアをするのでもないのです。

一体Yさんは、東北へ何をしに行ったのでしょうか?

実はYさん、「大震災があったことで、仮設住宅の受注合戦や、復興のための建設ラッシュが必ず起こる」と見越したのでした。豊かな人脈を持っているYさんは、不動産や建設の業界にも顔が利きます。並み居る若者に先駆けて、仕事の受注が入るように先手を打ったのです。

誰かの役に立つと脳は快感を覚える

「震災うつ」などでバタバタと倒れてしまう人も多い中、70歳を超えたYさんの行動力とバイタリティには本当に目を見張るものがありました。Yさんは競争に勝ち、現在はことあるごとに仙台に向かって、精力的に仕事をこなされています。

どんなに大変な状況にあっても、どんなことでもチャンスに変えてしまう。彼こそ、そういう人物なのです。

ではなぜ、Yさんは、こんなバイタリティあふれる行動ができたのでしょうか?

Yさんが、特別な人だからでしょうか?