いいアイデアを練るにはどうすればいいのか。「思考の整理家」を名乗るコンサルタントの鈴木進介さんは「無数にある情報の中には、余分で価値のない『ノイズ』も含まれる。一流の人はノイズに振り回されないよう、一人きりになって良質な思考をする習慣を大切にしている」という――。
※本稿は、鈴木進介『ノイズに振り回されない情報活用力』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
ビル・ゲイツがノイズを完全に断ち切る1週間
クライアントで突出した成果を出す人も、偉業を成し遂げた世界中の一流の人も、共通することは「ノイズに振り回されない環境」を自らつくっているということでした。
私が「ノイズのない環境」の大切さに気づいたのは10年ほど前のことです。
ある人物のライフスタイルに驚愕したことがキッカケでした。マイクロソフト創業者の、ビル・ゲイツ氏です。彼は何年も連続して長者番付で1位の富豪というだけではなく、パソコンを世界中に行き渡らせるキッカケをソフトウェアを通じてつくり、今は慈善家として貧困や感染症の問題に向き合っています。
そんな彼が1980年代から今でも習慣にしているのは、「Think week(考える週)」といって、半年に1回ペースで1週間まるまる普段の業務からも離れて山にこもり、ノイズを完全に断ち切った状態で考えごとをするそうです。
側近や家族まで連絡を取りにくくし、普段読めない本、論文を読んでは思考を深め、思考を深めては整理して、新たな展開の発想源にされているとのこと。
一流の人は一人きりの世界にこだわる
これは休暇とは別物で、あくまでもノイズを断ち切って良質なインプットと、今後のアウトプットのための仮説づくりや思考の整理を行う「戦略的な時間の使い方」なのです。
「Think week(考える週)」の時間や機会を確保できる人はそれほど多くないかもしれません。それでも、強い意識をもってノイズを断ち切るからこそ、世界を変えるアウトプットができるのでしょう。
一流の人は、ビル・ゲイツ氏以外にも、ノイズのない世界で良質なインプットや整理、アウトプットの準備をすることにこだわっているようです。しかも、一人きりになって。