※本稿は、『プレジデントFamilyムック 医学部進学大百科 2022完全保存版』の一部を再編集したものです。
ストレスフルな生活や試験本番直前に「3分間」で脳も体も絶好調に
勉強しなきゃと思っても身が入らなかったり、焦りからイライラして集中できなかったり。医学部合格を目指すハードな受験生活には、そんな迷走が起こりがちだ。その対策として知っておきたいのが、自律神経のコントロール法である。
「自律神経とは、血液の循環、呼吸、消化、体温などを24時間休みなく調整している神経のこと。勉強のパフォーマンスが落ちるのは、自律神経の働きが乱れているときです」
こう指摘するのは、順天堂大学医学部の小林弘幸教授だ。睡眠不足、運動不足など受験生によく見られる生活習慣やストレスは、すべて自律神経の乱れを引き起こす原因になるのだとか。
自律神経を構成するのは、心身をアクティブな状態にする交感神経と、心身をリラックスさせる副交感神経の二つ。車でいえば交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキに相当する。小林教授によれば、勉強に集中するためには、両者がうまく働き、なおかつバランスが取れた状態を保つことが肝心だという。
「自律神経のバランスが取れていると血流が安定し、細胞の一つ一つに質のよい血液が行き渡ります。すると体調が整えられて集中力が高まるうえに、脳の働きも活性化します。神経が敏感に働くので、ケアレスミスも犯しにくいんです。さらに免疫力も上がるので、受験生の大敵である風邪やインフルエンザにもかかりにくくなりますね」
大学共通テストの正答率85%~90%を目指さなければならない国公立大医学部のような難関の入試を突破するには、「やるべき勉強をやり尽くすことが不可欠」と小林教授は言うが、そのやり尽くした域に達するためにも、自律神経を整えて毎日ベストコンディションで机に向かうことが欠かせないのである。自律神経がコントロールできれば、受験当日に、極度の緊張や体調の悪さで実力を発揮できなかったという失敗も防げる。
「私はプロスポーツ選手やオリンピックに出場するようなトップアスリートの指導をしています。彼らは試合で最高のパフォーマンスができるよう自律神経をコントロールして状態を整えています。受験生はアスリートと同じです。入試はいわば試合。特に当落線上にいる受験生は、コンディションが合否を分けることもあるので、自律神経のコントロールが非常に重要になってくるのです」
入試の当日は、ほどよい緊張感を持ちながら、平常心を保つのが理想。その状態にもっていくには、日々の生活や勉強の仕方を戦略的に考える必要があるそうだ。
小林教授が挙げる入試に勝つ自律神経のコントロール法は次の七つ。簡単なことばかりなので、今日から実践して、医学部への道を切り開こう。