若年層にもカセットテープの魅力を訴求する

マクセルもカセットテープの需要を喚起すべく、マーケティング手法を変えている。昔のように大々的にテレビCMを打つのではなく、若者に受け入れられるような工夫を凝らして、カセットテープが根絶しないように企業努力をしているそうだ。

「最近では、音楽アーティストがカセットテープで楽曲を出すなど、アナログへの回帰が注目されていると思っています。デジタル音源やストリーミングにはない味のある音や、カセットテープならではの懐かしさを楽しむコアな音楽ファンにも見直されてきていると感じています。こうした状況を踏まえて、2020年には若年層に手に取ってもらえるようなパッケージのデザインに刷新し、試行錯誤しながらカセットテープの魅力を絶やさないように努力しています」

アナログもデジタルも、顧客満足度の高い製品開発を続けたい

インターネット環境が急速に広まり、テクノロジーが進化したことで、情報の記録はクラウドサーバーでの管理が当たり前になった。

それでも、カセットテープやCD、MD、DVDといったハードウェアの記録媒体もしばらくは残り続けることだろう。

全国の量販店のPOSデータをもとに、パソコンやデジタル家電関連製品の年間販売数No.1を決める「BCN AWARD」という賞(※)がある。マクセルはCDメディア部門、DVDメディア部門、BDメディア部門の3部門で5年連続年間販売台数シェアのトップを誇っている。

※BCNが全国の量販店のPOSデータを日次で収集・集計した「BCNランキング」に基づき、パソコン関連・デジタル家電関連製品の年間(1月~12月)販売台数第1位のベンダーを表彰するもの。

いわば記録媒体のリーディングカンパニーとして、今後も記録メディア事業をライフソリューション事業部のひとつの顔として据えながら、コンシューマー事業を展開していくという。

「記録メディア事業はマクセルにとってルーツであり、今後もお客様のニーズに合わせて顧客満足度、価値の高い製品を提供していければと思っています。それが長年トップでやってきている会社の使命であり、市場の牽引役としてこれからも尽くしていきたい。また、弊社としては除菌消臭器やシェーバーなどの健康・理美容製品が新しい事業の柱にもなっているので、お客様のライフスタイルや志向が多様化するなか、お客様の声に真摯に向き合い、柔軟に対応をしていきながら、アナログからデジタルまで顧客満足度の高い製品開発を行っていきたいと考えています」

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