なぜコカ・コーラ株が「理想の投資対象」なのか

バフェットの理想とする企業の一つがコカ・コーラです。こう評価しています。「これからあなたは一度だけ取引をして、その後10年間投資の世界から離れるとします。(中略)向こう10年間は投資対象を変更できません。さて、どんなものに投資しようと考えるでしょうか。(中略)私にはコカ・コーラしか思い浮かびません」(『ウォーレン・バフェット 自分を信じるものが勝つ!』)

桑原晃弥『ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」』(KADOKAWA)
桑原晃弥『ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」』(KADOKAWA)

コカ・コーラは国際市場で成長を続け、かつリーダーの地位を維持する力もあります。今後も消費量の増加が期待できます。この地位を揺るがすなんてとてもできないとバフェットは考え、同社に積極的な投資を行ってきました。

バフェットはかつて「コカ・コーラはハムサンドイッチにも経営できる」〔著者注:コカ・コーラはハムサンドイッチが最高経営責任者(CEO)になっても儲かる、といった意味〕といったことがありますが、それはバフェットにとってまさに好ましい企業であることを意味します。なぜなら企業はいつも完璧とは限らないからです。

事実、バフェットが「株を買うなら、どんな愚か者にも経営を任せられる優れた会社の株を買いたいと思うでしょう。なぜならいつかは愚かな経営者が現れるからです」(『バフェットの株主総会』)といった通り、コカ・コーラにも愚かな経営者が現れました。

急死したロベルト・ゴイズエタの後を受けてCEOとなったダグラス・アイベスター時代、ヨーロッパで子どもの健康被害が報じられましたが、アイベスターは適切な対応ができませんでした。続くダグラス・ダフトも問題がありました。

代わって就任したネビル・イズデルの下でようやく同社は復活を遂げ、バフェットは「前にはよく、ハムサンドイッチでもコカ・コーラは経営できると、ビル・ゲイツにいったものだ」(『スノーボール(下)』)と振り返りました。バフェットは徹底して「優れた事業」を求めるのです。

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