旅行会社大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が業績悪化に苦しんでいる。ツイッターなどで「会計クイズ」を発信する福代和也さんは「決算書を読むと、減収減益に加えて、約800億円の現金が流出していることがわかる。それが旅行代理店というビジネスモデルを根底から揺るがしている」という――。
大手旅行会社「エイチ・アイ・エス(HIS)」のロゴマーク=2020年12月3日、東京都港区
写真=時事通信フォト
大手旅行会社「エイチ・アイ・エス(HIS)」のロゴマーク=2020年12月3日、東京都港区

経営危機に陥ったエイチ・アイ・エス

コロナ禍で業績が大きく変化した業界は少なくありません。その中の一つに旅行業界があります。緊急事態宣言や蔓延防止策により、旅行客は急激に減少してしまいました。

今回は、エイチ・アイ・エスのコロナ前後の貸借対照表を比較し、コロナの影響がどの程度あったのかを決算数値から読み解いていきましょう。

さっそく問題です。日本を代表する旅行代理店であるエイチ・アイ・エスの、2012年10月期と2021年10月期の貸借対照表が並んでいます。どちらがコロナ後の最新の貸借対照表か当ててみて下さい。

【図表1】HISのコロナ後の賃借対照表はどっち?
図表=筆者作成