たった1年で売り上げが4分の1程度に減少

正解は選択肢②が2021年10月期のエイチ・アイ・エスの貸借対照表でした。

【図表】正解は選択肢②
図表=筆者作成

それでは、まずはエイチ・アイ・エスがコロナウイルスにより受けた業績への影響を確認します。売上高の推移を見てみると、コロナウイルスの流行が始まった2020年度の売上高は2019年度に比べて半分近くまで減収となっています。たった1年で売り上げが半分となっているのも衝撃的ですが、2021年度の売上高はさらに4分の1程度まで減っています。この2年では8085億円から1186億円と86%の減収となっています。売上高が14%に縮んでしまったわけです。

【図表】売上高の推移
図表=筆者作成

一方で、営業利益の推移についても確認してみましょう。エイチ・アイ・エスの営業利益の推移データを見てみると、売上高と同様にコロナウイルスの流行が始まった2020年度より赤字が拡大していることが読み取れます。売上高と営業利益の推移を見ても分かる通り、旅行者の減少が旅行代理店の業績に与える影響は非常に大きいです。

【図表】営業利益の推移
図表=筆者作成

大赤字を出したからといって倒産するわけではない

コロナウイルスの影響で旅行者が大幅に減少し、その結果エイチ・アイ・エスの売上高と営業利益は大きく減少してしまいました。しかし、減収減益以上に危険なシグナルが存在します。

それは何かというと現金等の減少です。エイチ・アイ・エスの総資産の推移を見てみると、コロナウイルスの流行が始まった2020年度より1500億円近く減っていることが読み取れます。

【図表】総資産の推移
図表=筆者作成

コロナウイルスが流行する前後の年の貸借対照表を比較して見ると違いは一目瞭然です。元々は非常に大きい割合を占めていた流動資産の金額が、たった一年で半分以下となってしまっています。

【図表】総資産の規模が縮小
図表=筆者作成

流動資産の内訳を確認してみると、特に大きく減少している勘定科目が「現金および預金」です。コロナウイルス流行の前後で1000億円近く減少してしまっています。

企業は赤字となって倒産するのではなく、現金が支払えなくなって倒産してしまうため、売り上げの減少や赤字の拡大以上に、現金預金の減少が経営する際の最も危険なシグナルとなります。

【図表】現金および預金が大きく減少
図表=筆者作成