「未完の革命」を成功させ、5選へ
ウクライナ情勢は昨年11月以降、ロシア軍が10万の大軍を国境地帯に集結させて緊張したが、1月10日から米露の戦略対話が開始され、「外交の季節」に入ることで、軍事侵攻の可能性はひとまず遠のいた。
ロシア最大の同盟国・カザフスタンで、新年に反政府暴動が勃発し、ロシア軍が治安維持に出動したことも、プーチン政権にとっては「2正面作戦」となり、ウクライナ対策を鈍らせるだろう。
とはいえ、米露協議は難航必至であり、交渉が決裂すれば、再び軍事侵攻の危機が高まる。
ロシアでは、プーチン政権がウクライナ威圧を強める背景に、「2024年問題」があるとの見方が出ている。プーチン大統領が、「未完の革命」であるウクライナ問題を決着させ、24年の選挙で5選を狙うというシナリオだ。
スターリン越えとなる「30年政権」が実現する
ロシアの有力メディアグループ「RBK」は年末の12月27日、「クレムリンが2024年大統領選の準備を開始した」と報じた。
唐突かつ奇妙な報道だったが、クレムリン当局者は「現職大統領の選挙の戦い方が討議されている。他の候補の選択肢はない」と述べ、プーチン大統領が5選を目指す方針を示したという。
次回大統領選は2024年3月17日に実施される。RBKによれば、クレムリンの選挙準備は、与党が得票率を落とした昨年9月の下院選の総括や反省を踏まえて、次回大統領選の圧勝を狙っているという。2年後の選挙でプーチン氏以外に有力候補は見当たらず、出馬すれば、当選確実とみられる。
2000年に大統領に就任したプーチン氏が5選を果たせば、1期6年、2030年までの政権担当が可能で、20世紀以降のロシアでは、スターリンを抜いて最長在任の指導者になる。