政権2世の動向については、反政府系紙「ノバヤ・ガゼータ」(2020年11月18日)が調査報道を行っている。それによると、政権幹部2世では、パトルシェフ安保会議書記の長男、ドミトリー・パトルシェフ氏が30代で農相に就任。大統領の柔道仲間で大富豪のアナトリー・トルチャク氏の長男アンドレイ・トルチャク氏が上院第一副議長だ。
大統領の腹心、セルゲイ・イワノフ大統領特別代表の次男はダイヤモンド採掘会社「アルロサ」社長。国営石油大手、ロスネフチのイーゴリ・セチン社長の子息は20代で同社第一副局長になり、役員候補と噂される。
ロシア版「太子党」が誕生しつつある
このように、子弟への利権継承の微妙な時期には政権安定が不可欠であり、これも大統領続投の背景にありそうだ。
政権幹部や新興財閥の汚職・腐敗を告発した反政府活動家のアレクセイ・ナワリヌイ氏が昨年、投獄されたのは、一連の動画が一線を越え、危険人物とみなされたからだろう。
ナワリヌイ氏が主宰する「反汚職基金」は、反響を呼んだ黒海沿岸の「プーチンのための宮殿」だけでなく、政権要人の不正な不動産取得を次々に暴いており、最近はミシュスティン首相やラブロフ外相が槍玉に上がった。
こうして、プーチン体制下でロシア版「太子党」が誕生しつつある。中露関係が準同盟色を強めるのは、両国の「太子党」が政権を掌握した要素が大きい。