世界経済は中国に足を引っ張られる1年に

次に、中国の石炭輸入が減少し、電力供給が不安定化するリスクも世界経済に悪影響を与えるだろう。世界最大の一般炭(発電燃料用の石炭)の輸出国であるインドネシアは1月中の石炭輸出の禁止を決めた。インドネシアの石炭産業は、感染再拡大による港湾稼働率低下や水害による石炭生産の停滞といったリスクにも直面している。いずれも、中国の石炭輸入を減少させる要因だ。

他方で、年明け以降の欧州ではウクライナ情勢の緊迫を背景に天然ガス価格が上昇している。脱炭素に対応するために中国が石炭生産を追加的に増やすことも難しいだろう。昨秋のように電力逼迫ひっぱく懸念を背景に中国など各国が石炭や天然ガスなどを争奪し、エネルギー資源価格が一段と上昇する可能性は高まっている。

それが現実のものとなれば、電力料金を統制されている中国の電力会社は発電を減らし、中国が世界第1位の生産量を誇るアルミなど基礎資材の生産が減少するだろう。それは世界経済のサプライチェーンの混乱を深刻化させる一因だ。2022年の世界経済は中国に足を引っ張られそうだ。

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