※本稿は、小宮一慶『新時代の堅実なお金の増やし方』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。
優秀な日本人は海外へ
私がアメリカに留学したころは、アメリカに留学する日本人が多くいました。ところが、卒業した学校の先生と話しても、近年は日本から留学生が来なくなって、アジアからの応募者の多くは中国人だと聞いています。
これはちょっと残念な傾向ですが、だからと言って、日本人の若者たちが全員内向きになっているわけではありません。
私は、塾などを全国展開するワオ・コーポレーションの社外取締役を20年ほどやっています。ワオでは、塾などの生徒に限らず、本当に優秀な学生に奨学金を出しているのですが、この奨学金をもらっている子どもたちが、もらった奨学金で何をどのように勉強しているのかをプレゼンテーションしている映像を見ました。
驚いたのが、京都の名門高校に通う3年生の女子学生のプレゼンテーションでした。
彼女は、数学オリンピックで銅メダルをとった経歴の持ち主で、アメリカの理系の大学に進学するために、アメリカの大学の物理や数学の教科書を買って勉強していると言います。
アメリカに行って何を勉強したいかも明白で、物理学と数学の境目のところ、物理学の現象を数学で解析するといったことについて学びたいのだそうです。
私が京都大学の卒業生だから言うわけではありませんが、京都大学の物理学や数学と言えば、ノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士をはじめ、何人ものノーベル物理学賞受賞者を出しています。また、数学では、数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞を受賞した広中平祐博士がいます。
京都の高校に通っているのなら、京都大学に進学すればやりたい勉強ができるのではないかと思ったのですが、彼女は、マサチューセッツ工科大学(MIT)に進学したいと希望を述べていました。京都大学など眼中にないのです。