正解は一つではない
学校、企業、社会、そして人生……。我々が生きる世界ではしばしば、「たった一つの答え」を探し当てることを求められる。
これまでの学校教育では、問いには必ず正解があるという前提に立ち、誰よりも早く、間違えずに答えられた者が高く評価されてきた。しかし、現実の世界では、横たわる問題に唯一の正解があることの方が稀だ。そもそも何が問題なのかさえ分からないことも多い。
課題に気づき、問いを立て、試行錯誤を重ねながら、自らの頭で答えを導き出すこと。この行為に、本来の人間の価値がある。
アヒルの例が示すように、問いも答えも、実は人の数だけ存在する。その違い、つまりは互いに異なる多様性の中にこそ、新しい発見が埋もれている。
「レゴはすばらしい玩具ですが、それ以上に人間の多様なアイデアや考え方を導き出し、発掘するツールでもあるのです」。そう言って、クヌッドストープは胸を張る。
無限の組み合わせからアイデアが生まれる
下の写真にある、2×4ポッチのレゴブロックをご覧いただきたい。
理論的には、このブロック2個の組み合わせは24通り、3個になると1060通り、6個だと約9億通りの形を作ることができる。だから、参加者の中でまったく同じアヒルが生まれることは、まずない。
無限に近いレゴブロックの組み合わせ。何でも作れるという自由度の高さから、多くの人がさまざまなアイデアを生み出してきた。
もっとも、こうした説明はブロックの魅力を解説しているにすぎない。ではなぜ、レゴの開発するブロックは、世界の消費者にこれほど受け入れられているのか。それは、レゴという会社そのものが、ヒット商品を生み続け、絶えず革新を遂げてきたからだ。