②成長スピードが速く、スキルが身につく仕事

学生たちは以前にも増して成長できるキャリアを求めています。

しかし、所属した環境によって成長のスピードに雲泥の差が出てしまうことも事実としてあります。いまだに一般的な大企業では、20代は下積み期間として「まずは現場業務から経験して」などと企業理解のための職務に長期間あたることも少なくないでしょう。

終身雇用の時代が終わりを迎え、彼らは「これからは自身でキャリアを切り開く時代」だと認識しています。

会社に頼ることができなくなり、いつでも転職できるだけのスキル・専門性がつく仕事内容かどうかは、就職先選定において非常に重要なポイントとなっています。

③実力主義の評価体制がある職場

年功序列型の制度は、評価を積み重ねることで将来の報酬を上げる終身雇用を前提とした人事制度です。報酬が先送りになっているため、現代のように転職する可能性が高い時代においては、正当な対価を受け取ることが難しくなります。

だからこそ優秀な若手人材は、年齢に関係なく、結果や実力に見合った報酬やポジションを「今」欲しいと考え、実力主義の評価制度を強く望んでいます。

また、誰もが知っている大企業、財閥の冠がついた企業などのステータスが低下してきています。代わりに若手人材の間では、身も蓋もない話ですが「年収の高い企業」がステータスとなりつつあるのです。

就活を通して企業へ不安感を抱く学生がいることにも注意が必要です。

新卒採用の際、東大生○人、京大生○人などと、有名大学別の目標数を設定した採用を実施しているケースが見受けられます。確かに大学名は選考における判断基準のひとつとして有用でしょう。しかし、大学名が採用の手段ではなく、目的になっているとすれば問題です。

私の授業に出席していた学生たちからは「個々の志向や実力をあまり見ず、東大生だから採用されているのでは」という企業の採用姿勢に対する心配の声が聞かれました。

東大生のキャリア観にフィットするコンサル

このような現状から、東大生のような優秀な若手人材が選ぶ企業の特徴が見て取れます。

新卒の職種別採用や実力主義の導入、個人の成長への配慮は、もはや彼らを引きつける上で必須事項といえます。さらに、やりがいのある仕事、社会的意義のある仕事であることを伝える努力も求められています。

東大生から人気を集めるコンサルティングファームには、まさにこのような条件がそろっています。

コンサルティングファームの業務は多種多様です。大企業のM&Aや組織改革、地方創生や国家レベルのプロジェクトもあれば、ソーシャルスタートアップ企業の経営支援や中堅企業の事業再生を支援することもあります。

若手でも経営課題の解決に日々携わることができ、やりがいのある仕事となっています。これらの経験を通じて、固有の業界や企業に縛られない汎用的な問題解決能力や、高度なコミュニケーション能力などを磨くことができるため、成長できる機会が十分にあります。

報酬についても、コンサルティングファームには実力や貢献度に比して評価する人事制度があります。外資系戦略コンサルなどは新卒で入社すると、30歳時点で1500~2000万円程度の年収が見込めます。一方、日本企業の多くは横並びの年功序列型の人事制度のため、このレベルの年収を得るためには20年以上の勤続と昇進が必要です。

コンサルティングファームの実力主義による高い報酬制度が、若手人材の目には魅力的に映ることは無理からぬことです。

それだけではありません。コンサルティング業界を経験するメリットは、魅力的なネクストキャリアにもあります。コンサルティングファームの出身者、いわゆる「ポストコンサル」と呼ばれる人たちは転職市場において非常に高い評価を受けています。

20代、30代の若さで企業の経営幹部に抜擢されることも珍しくありませんし、事業再生を担うターンアラウンドマネジャー、PEファンド、ハンズオンベンチャーキャピタルなどへのキャリアも開けています。また、自身の起業の際にもコンサルタントの経験は大いに役立つでしょう。