履いて歩くだけで足腰のエクササイズ効果を生み出すというトーニングシューズが人気を呼んでいる。柔らかいソールがバランスボールの上にいるような不安定さをつくり出し、歩くたびにふくらはぎや太ももに自然な負荷がかかる。普通の歩行よりも筋肉を使うことでシェイプアップにつながるというわけだ。
2009年から商品を投入しているリーボックジャパンで女性向けカテゴリーの責任者を務める今井清臣氏は「私たちは『履くだけジム』という提案をしてきた。仕事や主婦業、子育てと多忙な女性が通勤や買い物など日常生活をしながら、フィットネスもできる手軽さが支持されたと思う」と好調さの理由を説明する。
実際、矢野経済研究所のマーケット調査でもトーニングシューズの国内出荷数量が、09年の67万足から10年には193万足と爆発的に増えた。今年も伸び率こそ鈍化しているが、数量は約2倍の351万足と予想される。スニーカーなどの苦戦を横目に、ウオーキングシューズ全体がわずかながらも伸長しているのは、トーニングシューズが底上げしているからにほかならない。
しかもまだ、立ち上がったばかりのマーケットだけに、認知度は5割そこそこ。今井氏は「当社では、35±10歳の層に販売の重点を置いた。これまで購入の主力になったのは、25歳から35歳の新商品に敏感な女性たち。最近では40~50代にも広がっている」と話す。今後、デザイン、カラー等の充実によって消費者への訴求力が増せば、まだまだ伸びしろはある。
(ライヴ・アート=図版作成)