デジタルカメラの市場に変化が起きている。コンパクトカメラが、スマートフォンとの食い合いなどで台数および金額とも前年割れが続くなか、デジタル一眼レフカメラから光学部品を省いて小型・軽量化したミラーレス一眼が好調だ。2008年にパナソニックが先鞭をつけ、国内出荷台数160万台といわれるレンズ交換型カメラの4割を占めるまでになった。
家電量販店の店頭調査を行うBCNの道越一郎チーフアナリストは「コンパクトから一眼レフに換えたいが本格的になりすぎるという層のニーズをうまく発掘した。手軽さに加え、画質も一眼レフ並み。直近の平均単価5万6000円と比較的経済的で、20代後半から30代の女性たちに支持され、新しい市場ができ始めている」と語る。
しかし弱点もある。それは一眼レフに比べ、ピント調節、画像処理のスピードが遅く、動きの速いスポーツや走り回る子供を写すには、やや不満を覚えること。とはいえ、外出時に携帯し街並みなどを撮るには遜色ない。そこで、撮影シーンに合わせてカメラを選び、楽しみながら使い分けていけばいいだろう。
11年10月、ニコンが満を持して参入。富士フイルムも来春発売を打ち出した。
「当然、一眼レフではトップシェアのキヤノンも遠からず発売を宣言すると思われる。現在の流れとしては、コンパクトからレンズ交換型への流れが進むなかで、それを牽引するのがミラーレス一眼となっている」と道越氏は見ており、各社の熾烈な戦いが展開されそうだ。
(ライヴ・アート=図版作成)