「敵対的だから良い・悪いという類いの判断ではない」

「基本的には、経営統合が敵対的なTOBという形態で行われることは、決して好ましい形ではないのではないかと思っている」

決算会見で、新生銀行へのTOBについて話すSBIホールディングスの北尾吉孝社長=2021年10月28日、東京都港区
写真=時事通信フォト
決算会見で、新生銀行へのTOBについて話すSBIホールディングスの北尾吉孝社長=2021年10月28日、東京都港区

「敵対的だから良い・悪いという類いの判断ではなく、基本的には個々の案件の状況をしっかりと総合的に考えて、対象となっている企業の企業価値の中長期的な向上に資するか否か、利益相反はないかといった点などを総合的に考慮したうえで、個々の金融機関において個別に判断される性格のものだろうと考えている」

前者は、地方銀行協会の柴田久会長(静岡銀行頭取)が9月15日の記者会見で、SBIホールディングスによる新生銀行への敵対的なTOBについて聞かれ、答えたもの。後者は全国銀行協会の髙島誠会長(三井住友銀行頭取)が10月14日の記者会見で、敵対的なTOBについて聞かれ、答えたものだ。

両者の発言に温度差が生まれた背景

両者の答えの温度差は、柴田氏がSBIによる新生銀行へのTOBという個別案件について聞かれたのに対し、髙島氏は一般的な敵対的なTOBについて聞かれたという違いもあるが、それに加え、柴田氏の母体である静岡銀行が、今回のSBIによる新生銀行へのTOBの引き金となったマネックスグループと資本業務提携していることと関係している。

柴田氏は記者会見で、「静岡銀行とマネックスは親密な関係にあると認識している。新生銀行はホワイトナイトを探すといった報道もあるが、静岡銀行に対してホワイトナイトに関する打診はあったか、また、打診があった場合はどのように対応する予定か」と聞かれ、「静岡銀行の持分法適用会社であるマネックスが、今回、さまざまな報道で名前が挙がっていることは承知しているが、本件はあくまで新生銀行とマネックス、SBIの三者間の話であり、静岡銀行としてこの場でお知らせする決定事項はない」と回答し、SBIによる新生銀行TOBに距離を置く。